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彩の国工場振興協議会研究会/交流会に出席する

「はやぶさ」プロジェクトに関わった埼玉県内の企業が、県知事より感謝状の贈呈を受けるというイベントがあった。
表彰されたのは、2社。
・株式会社キットセイコー:探査機のねじを担当。軽量化のため、チタンのねじを使用したとのこと。
・株式会社原田製作所:タッチダウン時に打ちこまれる弾丸射出用加工部品の製造。弾丸もここで作っていたと言っていたような気がする。
2社とも、「はやぶさ」のプロジェクトに多大な貢献をし、日本の科学技術の素晴らしさを世界に伝えたという意味ですばらしい会社であると思う。おめでとうございました。

ところで、感謝状の贈呈に先立ち、研究会が開催された。研究会ではイオンエンジンの開発に携わったJAXAの國中教授が「はやぶさプロジェクトを支えたイオンエンジン ~困難を乗り越えた技術と英知~」というタイトルで講演を行った。概要は以下のとおり。

・スライドを使った説明。
1.電気ロケット
2.小惑星からのサンプルリターン
3.はやぶさ小惑星探査
4.小惑星のなにが分かった?
5.雑感
6.大航海時代
7.次の宇宙探査は?

1.電気ロケット
・イオンエンジンは長寿命、高信頼が大切。
・欧米は直流放電でプラズマを作ろうとしていたが、これには電極が必要。
・プラズマは高温のため、電極が摩耗する。
・日本のイオンエンジンは、80年代後半に開発に着手した。
・マイクロ波を使ってプラズマを作る。→電極を必要としないので、エンジンの寿命が延びる。
・マイクロ波の電源は高価。國中先生はさまざまな努力でこれを調達した。
・費用がなければ、限られた資源の中で勉強しようとする。研究者にとってはモチベーションが大きな財産になっている。

2.小惑星からのサンプルリターン
・1985年に「小惑星サンプルリターン研究会」という冊子が宇宙研から出た。これが最初の組織としてのアプローチ。
・アメリカと日本の宇宙開発を比較すると、TRL(Technology Release Level)がアメリカでは高く、日本では低い。日本ではサブシステムの開発に多くの時間がかかる。
・研究費は100万円くらいの予算しかつかないのに、衛星搭載機器の開発は億単位の予算がつく。ここで、「やれるのか」と聞かれると「できます」としか言えない。この予算の2ケタの差は大きい。
・イオンエンジンの耐久試験では、14,000時間の耐久性能が必要だった。
・真空容器の中に、2年半イオンエンジンを入れる試験を2回実施した。
・ただエンジンを開発するだけではなく、高圧のキセノンガスを作る装置なども開発する必要があった。

3.はやぶさ小惑星探査
・カプセルの直径は40センチ、大きさは17キログラム。
(この項はJAXAの映像資料を見ながら解説)
・イトカワに近づきながら写真を見た2週間、イオンエンジンの性能が実証されて非常に感慨深かった。
・タッチダウンの時に探査機が壊れないか心配だったため、1度タッチダウンしたら地球に帰還してほしかった。(結果的にはもう一度タッチダウンが行われた)

4.小惑星のなにが分かった?
・宇宙風化を観測したことが大きな話題。
・観測分解能の向上:写真の分解能は、せいぜい惑星を識別する程度だった。しかし、はやぶさが地球に持ち帰ったカプセルの中には、1ミクロンの微粒子を見ることができるようになった。これは原子を分析する分解能に達した。
・実に22ケタの技術向上であり、これは他に例を見ないものである。

5.雑感
・イオンエンジンの稼働実績は、延べ40,000時間に達した。
・2009年10月に、3台のエンジンが故障した際、Aの中和器とBのイオン源を組み合わせることで地球帰還に必要な推力を確保した。イオンエンジンは、他にも姿勢制御、精密誘導といった想定外の運用に使われている。
・それまで、行政手続き等が遅々として進まなかったが、イオンエンジンのクロス運転が、いろいろ調整に難航していたものの活路を開いた。(地球帰還への見通しが立ちそうなことの証明となった)
・「はやぶさ」プロジェクトの特殊事情として、使う人と作る人が同じということが挙げられる。本来のスペックが100%だとして、この機械にある程度の余裕を見越して90%の性能で運用することがよくある。サブシステムが5個あれば、90/100の5乗=59%くらいのパフォーマンスしか出せないことになる。「はやぶさ」の場合には、工夫や譲歩によって想定スペック以上の力を発揮することができた。仮にこれを110%で運用できていたとすれば、110/100の5乗=161%の力を出せたことになる。

☆國中先生のことば
1.決まった未来はない。未来は創るもの。
2.負の応援(NASA)に刺激されてがんばった。あきらめない気持ちが大切。
3.挑戦なくして新しい境地はない。
 チャンスは少ない。条件は悪い。

・カプセルのコンテナは真空に保たれていた。熱も加わっていないことにイトカワの微粒子の価値がある。
・隕石は地球の大気に触れることで、汚染されている。
・「はやぶさ」の持ち帰ってきたものは、正倉院の宝物などと一緒のような、日本の宝である。それを日本の技術で行ったことには価値があることだと思う。

6.大航海時代
(割愛)

7.次の宇宙探査は?
・「はやぶさ2」プロジェクトは開発に着手した。
・イオンエンジン(μ10)の事業化を目指している。
・今後は木星探査を行いたい。
・木星は太陽系ハイウェイの関所。木星の引力を利用することで、もっと遠くの天体に行けるのではないか。

以上

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