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東北大学 サイエンスカフェスペシャル

10月3日に東北大学(仙台市青葉区)で行われた小惑星探査機「はやぶさ」実物大模型展示イベントに行ってきた。
大学に「はやぶさ」がやってくるということで、日曜日だったこの日には多くの家族連れ、地域住民(と思しき方々)が参加した。
展示初日ということで、一般公開は12時から。この日の午前中はオープニングセレモニーを行い、夕方から行われる「サイエンスカフェ」の整理券を配布した。
サイエンスカフェは、サイエンスについて気軽に話し合う場を設けるというイベント。普段は円卓で行われるらしいのだが、今回は参加者の数が多いだろうということで、講師の先生と向かい合うような形でのイベント開催となった。今回は「スペシャル版」と銘打って、来場者に「はやぶさ」のことを知ってもらおうと3名の教授が講演を行った。

○吉田和哉 東北大学工学研究科教授
○安藤 晃 東北大学工学研究科教授
○中村智樹 東北大学理学研究科准教授

午後4時半、サイエンスカフェが始まった。
まずは、東北大学総合学術博物館の西教授による経緯の説明。西教授によると、
・「はやぶさ」を仙台に連れてこよう、というのが今回のミッションであった
・JAXAでカプセルの分析を行っている中村准教授が「『はやぶさ』の実物大模型を貸してくれるかも」とのことで、トントン拍子に話が進んで今回展示に至った
・まずは「はやぶさ」を見てもらい、そして「サイエンスカフェ」学んで帰ってもらいたい
というお話しだった。

その後、先生方の講演。

1.「はやぶさ」サンプル・リターンへの挑戦(吉田教授)
・「はやぶさ」の計画を検討し始めたのは、1993年頃。吉田教授は95年頃から参画した
・惑星探査の方法はさまざまだが、着陸して試料を持ち帰るという「サンプル・リターン」はその究極の方法である
・「はやぶさ」は、月以外に降りて戻ってきた初めての探査機である
・今年7月16日に行われた宇宙開発推進委員会にて、「はやぶさ2」計画の経緯と位置付けについて議題に上がった
・「はやぶさ2」では、炭素で構成された天体へ行くことを計画している。これは、生命の構成を知るための計画である

2.「はやぶさ」イオンエンジンの秘密(安藤教授)
「一家に1枚元素周期表」の話
・「はやぶさ」の燃料となったキセノン(Xe)について、「はやぶさ」の活躍のおかげでキセノンのイラストがはやぶさになった。キセノンもさぞかし喜んでいるだろう(会場笑)
・キセノンは非常に貴重は燃料である。それを60キロも使った。
・「はやぶさ」に搭載されたイオンエンジンは、紙1枚を浮かすくらいの力しかないが、非常に燃費効率のよいエンジンである
・イオンエンジンの延べ動作時間は26,000時間。
・エンジンが故障したため、ふたつのエンジンの故障していない部分同士を接続して運用する「クロス運転」を行った
・この運用を可能にしたのはダイオードであるが、これは國中先生のアイデアである。

3.「はやぶさ」が解明したイトカワの歴史(中村准教授)
・中村先生は、相模原のJAXAでカプセルの中身の分析を行っている
・カプセルの解析において、立候補者の中から中村先生が選ばれた
・「はやぶさ」がイトカワを目指した理由は、太陽系の進化の過程を知るため
・イトカワは、太陽系ができたころの形をとどめた小惑星である
・「はやぶさ」のカプセルを日本に運ぶチャーター機は入札によって決められたが、アラブの石油王のチャーター機を使って運ぶことになった
・カプセルの開封は6月24日に行った
・解析処理施設(大型の機械)の紹介
・施設は第一室と第二室に分かれており、第二室にマニピュレーター(顕微鏡)がある
・カプセルの中に入っていた微粒子は、1000分の3ミリの太さのピンセットを使う
・ピンセットは石英の管の中に白金線が入っており、白金線に電圧をかけることによって微粒子を吸いつけることができる
・電子顕微鏡での解析は、最近始まった
・今後数カ月で、公式にアナウンスできる

先生方からの講演の後には、ファシリテーターと呼ばれる4人のアシスタントが、出席者からの質問を回収した。その合間をぬって、以下のような話があった。
・東北大学は「はやぶさ」の開発に携わっていた
・ロケットが打ち上がってからは、宇宙研のメンバーが主に担当していた
・イトカワへの1回目のタッチダウンの際には、実は「はやぶさ」を見失っていた(通信ができていなかったということか)
・姿勢を制御するために、燃料となったキセノンガスを生で噴射したことがあった。もったいない(会場笑)
・「はやぶさ」には、さまざまな人間が関わっているが、それぞれ出番が回ってくる。いろんなスペシャリストが関わっている

質問がまとまって、多く寄せられた質問について、先生方に回答願った。
Q.微粒子の数はいくつくらいあったのか?
A.50個程度、それより細かいものはもっと多い
Q.イオンエンジンのクロス運用を行うと、エンジンの効率は落ちるのではないか?
A.その通りである。
Q.燃え尽きた「はやぶさ」を見て、どう思ったか?
A.(各先生方)
 ・一瞬光って、「アッー」って感じ(会場笑)
  だがそれにしても、微調整を繰り返し、予定通り地球に戻ってきた。着陸地点は予定した場所から1キロも離れていなかった。工学に携わる者としては感激である
 ・着陸地点のウーメラ砂漠で見ていたが、静かだった。15秒くらいスーッと降りてきて、まっすぐな軌道を描いた。はやぶさが燃えたのよりも、カプセルが無事かどうかが気になっていた。はやぶさがカプセルを切り離したのを見て安心した(会場笑)
 ・できれば「はやぶさ」の部品を回収して調査したかったが、だいぶ前から大気圏で燃え尽きることは分かっていた。
 60億キロも旅をして、1キロの誤差もない精度で着したことに関して、こういう高度な技術を日本は持っているんだ、ということを世界に示した
Q.カプセルの中に入っていたものが、地球のものかイトカワのものかはどうやって見分ける?
A.元素の種類とその割合で評価する。コンドライトを含むものであれば、それはイトカワ起源のものであると判定することになる
Q.イトカワのかけらを集めるサンプラーホーンは、なぜ1本足なのか?不安定なのでは
A.逆に1本のほうがやりやすい。2本以上サンプラーホーンがあると制御が複雑になる
 機体下部の端についているのは、構造上真ん中には付けづらかったから。どこから着陸してもどのみち傾くから、ということで端になった
Q.「はやぶさ2」計画の狙いを理学、工学それぞれの観点から教えてほしい
A.理学的に考えると、以下の違いがある
 イトカワ:有機物がほとんど含まれない。これは太陽系の起源を知る手掛かりとなる
 はやぶさ2:有機物がかなり多く含まれる星を目指す。これは生命の起源を知る手掛かりとなる
 工学的に考えると、以下の違いがある
 イトカワ:工学実験衛星(行って、帰ってくることが目的)
 はやぶさ2:「はやぶさ」のノウハウを利用して、科学をすることが目的となる
・「はやぶさ2」に使われるイオンエンジンは「はやぶさ」に搭載されていたμ10(ミューテン)の改良版で、開発はほぼ終わっている
・「はやぶさ2」のために、2万時間の実験を行った
・今後のターゲットは、木星の近くにある衛星である

質問は尽きないが、午後6時過ぎからは「はやぶさ」の模型を展示してあるホールに行き、先生方の解説を交えた実物大模型の説明があった。

午後7時イベント終了。参加者の知的好奇心を満たすという意味では、多くの参加者が興味を持って話に耳を傾けていたのが印象的であった。
当日の様子はテレビで放送されたほか、10月4日付河北新報朝刊(22面)にも載っているので、興味のある方はご覧いただきたい。

※当日参加された方へ、間違いや加筆がありましたら、ご指摘いただければ幸いです。

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